60代になると、体力だけでなく性機能にも変化を感じ始める方が多くなります。中でもED(勃起不全)は多くの男性にとって大きな悩みの一つ。本記事では、60代男性のEDの原因、予防方法、治療の選択肢を網羅的に解説し、自然な改善につなげるための実践的な情報をお届けします。
ED(勃起不全)とは何か?
EDとは、勃起が得られない、または維持できないことで、満足のいく性行為が行えない状態を指します。日本語では「勃起障害」とも呼ばれますが、「ED(Erectile Dysfunction)」という略称の方が一般的です。たとえば、性的刺激を感じていても陰茎が硬くならない、勃起してもすぐに萎えてしまうといった症状が該当します。
とくに60代以降になると、若い頃と比べて性機能の低下を自覚する人が多くなりますが、これは自然な老化現象の一部でもあります。ただし、EDは身体的・心理的な要因により悪化する場合もあり、放置しておくことで自己肯定感の低下やパートナーとの関係性に影響を与えることもあります。
下記はEDにおける主な診断基準です。
項目 | 内容 |
---|---|
維持困難 | 勃起を維持できない |
発現困難 | 勃起が起こらない |
性行不可能 | 性交ができない状態が継続 |
期間の目安 | 原則3ヶ月以上続いていること |
EDは年齢とともに誰にでも起こり得る症状ですが、きちんと原因を把握し、対処することで改善する可能性があります。
60代男性のEDの主な原因とは?
60代の男性にEDが多く見られる理由は、主に身体的な老化やホルモンバランスの変化、慢性的な生活習慣病の影響です。まず第一に挙げられるのが「男性ホルモン(テストステロン)」の減少です。男性ホルモンは性欲や勃起を司る重要な物質であり、その分泌が減ることで自然と勃起力も低下します。
また、以下のような生活習慣病との関連も深く、複数のリスク因子が重なることでEDの症状が進行します。
原因 | 内容 |
---|---|
糖尿病 | 血管障害と神経障害によりEDを引き起こす |
高血圧 | 血流悪化により勃起力が低下 |
脂質異常症 | 動脈硬化を促進し血管の弾力性が失われる |
喫煙 | 血管収縮を促し血流不足に |
飲酒 | 神経機能の麻痺とテストステロン減少 |
特に糖尿病の男性は、ED発症率が一般よりも2〜3倍高いとされており、早期発見と管理が重要です。肥満による代謝異常もテストステロンの分泌に悪影響を及ぼすため、体重管理はED予防においても大きな意味を持ちます。
EDの診断方法と医療機関での対応
EDが疑われる場合、まずは問診により症状の有無と程度が確認されます。その際、IIEF(国際勃起機能スコア)という問診票を使用することが多く、患者自身が自覚している症状を可視化する手法として有効です。具体的には、過去4週間の勃起の頻度、硬さ、性交の満足度、性欲などを5段階で評価します。
さらに、下記のような検査を通じて原因を特定します。
検査内容 | 説明 |
---|---|
血液検査 | ホルモン(テストステロン)値、血糖値、脂質など |
超音波検査 | 陰茎の血流を確認 |
神経機能検査 | 勃起反応に関わる神経の異常を検査 |
精神的評価 | ストレス、うつ症状の確認 |
医師による問診・検査に基づき、身体的・心理的要因を踏まえた診断が下されます。診断結果に応じて薬物治療や生活習慣の見直しが提案されます。
EDの治療方法と注意点
現在のED治療で第一選択とされているのが「PDE5阻害薬」と呼ばれる内服薬です。これは血管を拡張し、陰茎への血流を促進する働きがあります。主な薬剤にはバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)などがあります。
それぞれの特徴を以下にまとめます。
薬剤名 | 効果持続時間 | 特徴 |
---|---|---|
バイアグラ | 約4時間 | 即効性が高い |
レビトラ | 約5〜6時間 | 食事の影響を受けにくい |
シアリス | 約36時間 | 持続時間が長く自然な性行が可能 |
ただし、硝酸薬(狭心症の治療薬)を服用している方は、これらの薬と併用すると命に関わる危険があるため、必ず医師と相談の上で使用してください。
また、サプリメントや漢方薬(八味地黄丸など)もありますが、医薬品ではないため効果に個人差が大きく、自己判断での使用は避けるべきです。
日常生活でできるED予防・改善策
EDは生活習慣を見直すことで改善が期待できます。まず重要なのが「運動習慣」です。特に有酸素運動(ウォーキング、サイクリング)やスクワットなどの筋トレは、血行を促進し、勃起機能の回復を助けます。
次に「食生活の改善」です。抗酸化作用の高い食材(例:トマト、ブルーベリー、青魚、ナッツ類など)を意識的に摂取することで血管の健康を保つことが可能です。
また、禁煙と節酒も必須です。タバコは血管収縮を招き、アルコールは神経伝達を鈍化させます。睡眠の質を高めることもホルモンバランスを整えるうえで効果的です。
以下にED予防に役立つ生活習慣をまとめます。
習慣 | 具体的内容 |
---|---|
運動 | 週3〜5日、30分以上の有酸素運動 |
食事 | 抗酸化食品の摂取と減塩・低脂質の心がけ |
禁煙 | 血流改善とホルモン正常化 |
節酒 | 適度な飲酒にとどめる |
睡眠 | 7〜8時間の安定した睡眠時間を確保 |
まとめ
60代以降の男性がEDを経験することは決して珍しいことではなく、多くの人が同じ悩みを抱えています。重要なのは、恥ずかしがらずに医療機関を受診し、専門的な診断と適切な治療を受けることです。また、日常生活の中で運動や食事、睡眠などの習慣を見直すことも、症状の改善につながります。
性機能は生活の質に直結する大切な要素の一つです。EDという症状に正しく向き合い、前向きな姿勢で対応することが、充実したシニアライフの一歩となります。自分の身体を理解し、無理のない方法でケアを続けていくことが、健康と満足の両立につながるでしょう。
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